本命企業に“冷めた”――新卒で「蛙化現象」が起きるワケ(ITmedia)

先日ご紹介したリクルートマネジメントソリューションズ社の調査レポートにあった蛙化現象。

2024年新卒採用 大学生就職活動調査 ~蛙化現象はなぜ起きる?これからの採用コミュニケーションとは~

今年の流行語大賞にノミネートされた「蛙化現象」。 皆さんご存知でしたでしょうか?
先日の調査レポートを受けて、 本日共有しているリンク等、様々な考察記事を多く見かけるので、 私自身も理解を深めるために、少し整理をしてみたいと思います。

■蛙化現象とは?
 元々は、好意を持つ相手が自分に対して好意を持っていると分かると、 それがきっかけとなってその相手に嫌悪感を抱いてしまう現象の意味で使われていました。
今は、「好きな人のささいな行動を目撃して突然、気持ちが冷めること」を指しているようです。
例えば…こんな行動が蛙化現象を生んでしまうようです。

・フードコートで自分のことをさがしてキョロキョロしている姿を見た時
・お会計で小銭を出そうとしている姿
・電車に乗る時、空席目掛けて急ぐ姿
・映画館で大声で笑う
・こぼれた食べ物を口にする
・ペットボトルの口を全部咥えるようにして飲む
・ストローを口で探す

個人的には、分からなくもないが…という程度であまり共感は出来ません。
タイパを重視して、アプリ等で効率的に出会った結果、蛙化するといった場面は何となく想像はつきます。

■就活における蛙化現象
 まず、就職活動・採用活動における『蛙化現象』とは、内定や入社をきっかけに学生のモチベーションが下がるように見えることを指しています。
では、内定や入社をきっかけに蛙化現象が起きるのか?と言えば、前提として以下三点の「最終的決定の難しさ」があると伝えられています。

① その決定が良かったのか悪かったのかは入社して働いてみないとわからない
② 1社に決める=他のすべての選択肢を捨てることであり、「損失回避」の思考が働く
③ 企業の悪い口コミや他の就活生の情報にもアクセスしやすくなっており、不安になりやすい

②の傾向は確かに、と思いますし、③は今の就活生に起こっている変化として大きいですよね。
こうした背景に加えて、以下の様な不安が蛙化現象に対する影響を与えているようです。

①「不確定要素や条件への不安」
②「軸が不明確なことによる不安」
③「内定後に得た情報への不安」
④「企業からの評価に対する不安」

こうした不安と意思決定の難しさから、「他の内定者の雰囲気が自分と合わなそう…」とか、「○〇事業部への配属はきついって噂を聞いた」といった事で蛙化してしまうようです。

■就活で蛙化現象を起こさせないために企業が行うべきこと
 こちらのレポートでは、以下の様な行動が推奨されています。

①学生が重視する条件を把握し、ネガティブな内容も含めて情報提供する
②対話を通じて学生の自己理解を促進し、自社との合致点を伝える
③対話を通じて把握した学生の強みと自社との合致点を伝える

こうしてみると、私が知っている採用力のある企業では、蛙化現象という言葉が出る前から当たり前に行われていた事だと感じます。
「タイパ」という言葉や考え方を重視する方が増えてきている時代背景、育ってきた環境的に蛙化しやすいという側面は確かにあるかもしれません。
しかし、今流行りの「蛙化現象」ですが、採用担当者が行うべき事は今の時代だからと言って本質的には変わらないようです。
自己理解が不足しているほど、些細な事で気持ちが変化してしまうのは採用場面等に限った事ではありませんしね。

加えて、レポートの中では、蛙化現象の起点になるのは、学生の自己理解の不足であると伝えらえており、私も強く共感しています。

「学生の自己理解が深まり、相互理解(企業や仕事内容・環境の理解)が出来る選考プロセスを作り、全力で実現してきた。これで蛙化してしまうのであれば仕方ない。」
と採用担当が胸を張って言えれば、トレンドに流されて対応を変化させる必要もなさそうです。
「人事を尽くして天命を待つ」ですね。

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