株式会社RECCOOの草深生馬さんを囲む焚き火会を開催しました!
2023年7月12日(木)に、TalkCampのイベント「焚き火会」を開催しました!
焚き火会は、まるで焚き火を囲むような気楽でフラットな雰囲気のもと、採用に関する意見を交換したり、対話したりする場として、定期的に開催しています。
今回の焚き火会では、株式会社RECCOO 執行役員CHROとしてご活躍されている草深生馬さんをゲストスピーカーにお迎えしました。
企業の採用・人事担当者を中心に約10名の方にご参加いただき、にぎやかな会となりました。
当日の雰囲気と対話の内容が伝わるよう、レポートします!
対話 ~草深さんにきいてみよう!~
- Q: 入社前の学生に前向きなマインドセットをもってほしい一方で、リアリティショックは避けたいです。どのように会社の魅力を訴求すべきでしょうか?
- 実態以上に魅力的に提示しないと入ってくれない学生は本当に正しいターゲットなのかを私なら考えます。事実を曲げるのはダメですが、その人に伝わりやすいコミュニケーションはあるので、いかにリアルに伝えて刺すかというHowを徹底的に磨くのがよいと考えています。
- Q: 人事としての今後のキャリアの参考にするために、草深さん自身のこれまでのキャリアについてうかがいたいです。
- 新卒で入った企業では営業を志望して入社したが、人事に突然抜擢されました。理由をきいたら「人事でも優秀な人がほしい」ということで、言われるがままホイホイと(笑)着任しました。何も知らないまま突撃したのでリアリティショックはなかったですね。
- 最初の会社は仕組み化することが非常に得意な会社でしたが、自分のアイデアを取り入れてもらいにくいことが気にかかっていました。そんな時に、Googleの日本法人をリードする若手として参画してほしいとオファーをもらい、転職を決めました。
- Googleの文化は主張することが前提で、そのぶん情報の流量が多く、最初はキャッチアップするのがやっとでした。不満もあった前職の仕組みに助けられていた部分が大いにあることに気づきました。
- 2つの会社の仕組みの中で仕事をするうちに、より大きな仕組みの一部を担うだけでなく、仕組みを作ったり動かしたりすることに携わりたいと考えるようになり、活動の幅を広げました。次第に日本だけでなく、アジアパシフィック地域でのリードも担うことができました。
- そんな中、Googleの中だけではなく、より関わる範囲を広げたくて現職へ移りました。
- 人事の仕事の全域で高い専門性を身につけるのはとても難しいと思います。採用や組織開発など、より絞ったセグメントの専門性を徹底的に現場と戦略の両面で磨いた上で、他の領域とのつながりを見出すことがキャリアアップには必要だと思います。結果的に、多くても3つくらい熟知することができれば人事のプロと言えるのではないでしょうか。
- Q: 外資と日系企業のHRの面での特徴はありますか?
- 外資は一人ひとりの強みを伸ばすことに特化してきた一方で、日系企業は組織だって取り組むことに特化していて、どちらの特徴も世界を席巻したことがあります。ただし、チームを作る上では強い個人が集まる必要があるというのがポイントだと思います。チームに介入するのは実践も効果検証もより難しくなるので、これまでチームを大切にしてきた日経企業であっても、人事制度の観点から言うと、個に着目するほうがやりやすいといえます。
- Q: 学生の認知度が低い状態で大人数を採用しなくてはならない状況にあります。採用で不合格になったり、辞退したりした学生にも、自社を受けてよかったという体験を届けられるようにしたいと心がけているのですが、どのようなHowがありえるでしょうか?
- 真の意味で応募者目線に立つために、例えば選考プロセスを受け手側から自ら体験してみたり、若手社員にメール内容の印象を尋ねたりしていました。また、メーラーごとの受信ボックス上での表示上限文字数をチェックして、印象的なフレーズがメールを開いた際に見える範囲に収まるようにしたり、改行位置や読点の位置などにこだわったりしていました。
加えて、Googleでは採用業務のすべてをいったん自分が担当することにし、自分の名前でひとまとまりの選考体験を届けるという試みをしていました。その結果、学生にとって応募企業のOne of Themではなく、The Oneになることができるようになってきました。お祈りメールにさえも、3割程度の学生が返信をくれるようになりました。関係性は新卒採用で終わらず、中途採用に応募してくれたり、仕事上のつながりが生まれたりしています。
- 真の意味で応募者目線に立つために、例えば選考プロセスを受け手側から自ら体験してみたり、若手社員にメール内容の印象を尋ねたりしていました。また、メーラーごとの受信ボックス上での表示上限文字数をチェックして、印象的なフレーズがメールを開いた際に見える範囲に収まるようにしたり、改行位置や読点の位置などにこだわったりしていました。
- Q: 生成AIの隆盛の中でESは今後どうなっていくと思いますか?
- ESは中途採用の職務経歴書と似た、自ら記述するものになると思います。現在のESは企業からの質問に対して字数制限や枠があり、学生の経験を表現しきれなくなってくるのではないでしょうか。結局尋ねたいのは職務経歴に近いものです。どういう経験をして何を学んだかを追究すると職務経歴書になると思います。
- 外資では、ある程度ジョブ型の採用で、採用後のマネージャーも決まっているという前提が日系企業とは違うかもしれませんが、ESの質問に対する応答で人柄が見えるというのはまやかしだと思っているので、私は書類選考での合否を極力避け、なるべく面接につなげるようにしていました。
- Q: 年度によって学生の特徴が違うという話も聞きます。25卒について気にかけるべきことはありますか?
- 25卒の学生には、あまり夢を見ず現実的な傾向があり、それを私は「悟り就活」と呼んでいます。「悟り就活」をする学生には、安定性(大手志向)・合理的・タイパ重視 といった特徴が見られます。特に「合理的」については、承諾後辞退への抵抗のなさにつながるところがこわいと感じています。集められる内定は手元に集めてから考えるのが当たり前になってきているようです。だからこそ、どんな会社でも最後の訴求点は人だと思います。ロジックよりもご縁とご恩。いかに自分自身の存在が承諾理由になるかを考えて、それを人事としてのプロフェッショナリティとしていました。
- Q: 最近、現場から管理職に異動し、学生に直接関わる立場ではなくなりました。採用担当の評価をどのように考えるべきなのか悩んでいます。学生のCX (Candidate Experience) を追求しきれていないのは、評価方法にも一因があるのではないかと考えています。
- 学生のCXを追求するためには、先ずは実態を把握する事が重要です。そのためには、選考プロセスを終えた学生からアンケートを回収することが有効です。選考プロセスへの評価と、その担当者は誰かを紐づけて、満足度やポジネガを質・量の両面で評価してはどうでしょうか。最初は不合格の方からは回答を得られにくいと思いますが、良い選考体験を提供出来るようになれば、不合格でも回答してくれるはずです。
おわりに
今回のイベントは草深さんを囲みながら、CXを中心に「採用」に関する対話を行ないました。
会の最後には草深さんから、「私も別なことをやった感覚はなく、早く行動して試行錯誤を多くやってきました。自分のいる環境でできる試行錯誤をたくさんできるといいと思います。私自身、これからもどんどんチャレンジしていきたい」と力強いお言葉を頂けました。
24卒採用から25卒採用へと移り変わるタイミングの企業も多いと思いますが、企業にも学生にもプラスになる採用・就職活動の実現に、今回のイベントが少しでも参考になったら嬉しい限りです。
TalkCampでは今後も定期的に、オフライン・オンラインイベントを実施し、“採用がはたらく人の幸せを増やす” 世界をつくるため活動していきます!
同じような想いを持っている方は、ぜひ私たちと一緒に語りましょう!
ゲストスピーカープロフィール
■草深生馬 氏
2011年IBM Japanへ新卒入社。2014年に Google 採用チームへ転職。
国内新卒採用プログラムのリード、MBA採用プログラムのアジア太平洋地域リードを兼任する傍ら、Google の人事制度について社内研究チームを組織し、人事制度のコンサルテーションや講演を実施。
2020年春より株式会社RECCOO 執行役員CHROとして活躍。
2022年に朝日新聞出版から『チームワーカー Googleで学んだ最速で成長する5つの行動原則』を出版。