TalkCampのゆる読みHRをお読みいただきありがとうございます☆
新年度に入り、新人の受け入れに関わる方も多いのではないかと思います。
今回のゆる読みHRでは、オンボーディングに関わる研究で興味深いものを見つけたのでご紹介します。
新卒採用やオンボーディングに関して、次のような意見を聞いたことはないでしょうか？
「自己実現の意識が高い人は、組織になじみにくい」
「将来的に起業を考えている人は、一匹狼なので組織に適応しにくい」
それって本当なの？🤔と検証したのが、2012年に東京大学の伊澤氏が報告した研究です。
この研究のキーワードは、「職業価値観」と「組織社会化」です。
職業価値観とは、職業選択や仕事のうえで何を大切にするかという価値観です。
もうひとつの組織社会化は、新しい組織になじむプロセスのことです。
入社1年目の社員に調査した結果、「自分自身の能力アップや自己実現をめざす」「将来独立することができる」といった職業価値観を入社前に重視していた人では、入社後の組織社会化スコアが高いことがわかりました。
冒頭に挙げた、新卒採用やオンボーディングに関する言説とは合致しない結果です。
自己実現や組織からの独立といった、入社後の目標を明確に持っている人では、目的を達成するために、組織のルールをいち早く身につけようとするため、組織になじみやすいのではないかと伊澤氏は分析しています。
さらに伊澤氏は、転職・離職をする可能性はもちろんあるものの、最初から扱いにくい存在という色眼鏡で見ることは、組織社会化がスムーズで積極的な人材としての可能性を見落とすことになりかねないと警告します。
学術研究の結果は、一見確からしそうな言説でも検証してみたら違っていたという、思い込みやバイアスの存在を自覚させてくれることがよくあります。
受け入れが進むにつれて、新人のみなさんの人となりが次第に見えてくるタイミングかと思いますが、私も第一印象やバイアスをいったん脇において向き合ってみたいなと思いました。
＜文献＞
伊澤 莉瑛（2012）．就職活動時の職業価値観は、入社後の組織社会化にどのような影響を及ぼすのか 自己実現志向・組織からの独立志向を持つ人は、組織になじめない人なのか 中原 淳 （編）職場学習の探究 企業人の成長を考える実証研究（pp.33-71） 生産性出版
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