こちらのニュース配信でも何度も注目記事として、取り上げてきましたが、25卒の採用活動がさらに早期化しています。
新年最初のニュース・コラムとして、改めて「早期化」について考えてみたいと思います。

■早期化の実態:
 2024年1月9日に学情社がリリースした調査結果によると既に文系は24.1%理系は26.8%の内定率となっています。
※参照ニュース:
12月末段階で4人に1人が内々定獲得 過去最高の25.0%で「超早期化」(学情)

理系の早期化は、昨年度迄と同様ですが、文系の早期化にも拍車がかかっています。
内々定獲得した企業との接点は、6~8月が最も多く、夏のインターンシップから早期選考が行われ、11月頃から最終選考が行われている様子です。
内々定先の業種としては、IT・ソフトウェア関連が昨年よりもさらに比率があがっています。

■採用の現場で感じること:
 私自身、複数のクライアントで新卒採用の戦略設計から実行迄を支援しており、様々な形で25卒の学生さんとも接点があります。
ITに限らず、大手のメーカー等も選考が早まっており、選考中や選考前の学生が内定を取ったので、「他社で内定を獲得したので辞退します」という声や、「周りが内定を取ったり選考が進んでいるので焦っています」という声を聞き、早期化の実態を肌で感じています。採用の現場で感じることを対学生、対企業という形で整理をしてみます。

・対学生:
 「意識が高い」という言葉はあまり好きではありませんが…、昔から一定の割合で存在していた就活積極層に限らず、そこまで就職活動に対して積極的ではない方からも「焦っている」という声を聞きます。自身のキャリアに向き合う時期が早いのは良い事だと考えていますし、キャリアに向き合うきっかけが外圧的なものであっても良いとも思います。しかし、最終的な就職先の決定において責任を取れるのは意思決定をした自分自身しかいない訳です。早期の就職活動は自己理解が浅く、市場について十分に理解していない状態での意思決定のリスクがあります。焦らずに、周りに流されずに、自分自身のモノサシで自律的な意思決定をして欲しいと強く感じます。
・対企業:
 学生と同じく企業側の焦りも強く感じます。多くの企業で母集団形成に課題がある事から、競合他社に先んじて人材を獲得しに行こうという動きが強くなり、大企業に限らず、中小企業も含め多くの企業で早期選考が行われています。採用目標の確保というミッションに対して、必要な手段の様に思えますが、独自の「戦略」というよりも外圧によりやらざるを得ないという企業も多いように感じます。今の学生のニーズに合わせて、2~3日のプログラムを作る企業も増えてきていますが、採用市場全体の動き以上に、自社の採用ターゲットに必要なコンテンツやプログラムの企画を行う事がより重要ではないでしょうか。早期選考やインターンを実施しないという選択も目的・目標に応じて柔軟に選択できると良いのではないかと感じます。

採用活動はここ数年早期化・長期化の傾向が続いていますが、今後はより多様化していくのではないでしょうか。
画一的ではない、個別最適の採用戦略。私自身もそうした戦略を設計していきたいと思います。

■コラム執筆者:鈴ヶ嶺 友浩

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